手を動かしてなにかを造るWebデザイナーの僕たちは、工程であらわせば「末端」であると言えます。
「先端」にいるクライアント、お客さまとはなかなかお話したり、顔を直接みて意図を想像することもできないんです。
その間にたつ主な伝達の要が「ディレクター」でありますが、クライアント、お客さまの目標や実現したいあれこれをどうやって聞いてデザイナーに伝達しているか、知っておいたほうが、きっと遥かによい成果物になるでしょう。
ディレクションの仕方はそれぞれ異なれど、デザイナーが普段あまり気にしない(と思う)「ヒアリング」について焦点を当ててみました。
そもそもヒアリングって
世の中にないもの(完璧な模造ではないと言う意味)を創るために、それぞれの持つイメージや知識のすり合わせで、目標に向かうために必須なコミュニケーションです。
なので、そのコミュニケーション上でクライアントとのイメージ、ゴールを共有すること。これが良い結果を生むための秘訣と言えます。
じゃあそのためにどうするか?
「聞く」だけではなく、「聞き出す」「引き出す」→「整理」「統合」することが大切です。
例外はあれど、相手からしたらこちらの経験値は問わず「プロ」という立場でお仕事を受けることになるので、プロである僕達がまずは先導すべきでしょう。
ヒアリングの場において、要望を「聞く」だけで工程を進んでしまっては、満足の行く結果にはなると言いがたい理由としては、たいてい、クライアントの要望は抽象的すぎるからです。
「清潔感があって、お年寄りでも使いやすくて…」
など。しかし実はこのウラに、無数の細かい要望があるはずです。
その無数の細かい要望を少しでも言葉にしてもらい、「あぁ、そうそう、それが言いたかった」的な気付きを露わにすることが必要になってきます。
この「露わにする」ことから、ひとつの「共有」が生まれると思っています。
「清潔感があって、お年寄りでも使いやすくて…」を、経験を元に変換して解釈すると、
- 清潔感→白や青か?
- お年寄りでも使いやすくて→フォントサイズが調節できるようにしようか。クリッカブルエリアは大きくしようか。リンク色はベーシックのままでいこうか。
など色々な施策が連想できますね。これを僕達プロから
「じゃあ、こういうことですよね。その理由は…」
と、前述のリンク色などの理由を説明することで、納得が生まれ、方向性が決まります。
ここで、ターゲット層や目標などと相違がある場合はズバッと突っ込みます。
こちらから提案できることは知識をもってして提案しましょう。
「では、ここをこうしてはいかがですか?」と。
言葉でなく、実際のWebサイトをみてもらうことも大切ですね。
ヒアリングシートを公開している記事は多くありますが、どこにも「参考サイト」の項目がありますね。
とにかく、言葉に出来ないところを引き出してこそ、より納得のいくものへと繋がる道なのです。
何でもそうですが、とにかく、あいまいな情報ではあいまいな結果しか出ようがないのです。
より真意に近いものをクライアントと制作側でぶつけあうことで、ブレが少なく満足が行くし成果があがるものを造ることができます。
業務の効率化や、あやふやな共有でのムダな修正による残業が増えないよう、デザイナー側が「ヒアリング」を知っておくことで、ディレクターが外れてしまった道や、その道での忘れ物を取りに戻ることが出来るのです!
デザイン案件でWebデザイナーが知るべき!
よくあるヒアリング項目
以下に、よくあるヒアリング項目をまとめてみました。
特にExcelでシートを作ったりとかはしてないので、参考までに…というかたちです。
デザインが上手く進まないとき。「これ!聞いてない!」をあぶり出すためのデザイン着想用にご覧ください!
要件
- リニューアル/新規製作/
商品/企業/団体について
- 業界の市場規模、商品(企業・団体)のポジションは
- 商品(企業・団体)の 独自の強みもしくはアピールポイントは
- 商品(企業・団体)の 理念は
- 商品(企業・団体)の ヴィジョンは
- 商品(企業・団体)の ミッションは
- 業界の競合は
- 競合と差別化できるポイント、商品(企業・団体)にしかない強みは
- 競合と比べて利益はどうか
- 商品(企業・団体)の 抱える問題点/改善点は
- 現在のマーケティング手段は
- チラシ/オフライン…
- 営業パターンでうまくいくケース、失敗するケースは
概念
- Webサイトを制作(リニューアル)しようと思った背景は
- 商品(企業・団体)の イメージ
- 今、アプローチしているターゲットに抱かれているイメージの想定は
- 刷新したい、新しく与えたい 「イメージ」はあるか
- 与えたい「イメージ」の優先順位は
目的
- ターゲット
- 性別
- 年齢層
- 職種
- 趣味
- 収入
- etc…
- Webサイトに期待する効果は
- ブランディング/申し込み増加/注文数増加/情報提供/企業宣伝…
- 数値目標
- PV/売上/問い合わせ数…
環境
- Webサーバーは
- 自前
- レンタル
- ドメイン/URLは準備してあるか
仕様
- 対応
ブラウザは
デバイスは
レスポンシブか - ボリューム
- ロゴはあるか
- ページ数は
- ティザーサイトは必要か
- ブログ・データベースの移行は必要か
- ソーシャル
- SNSボタン
- 投稿連携
- アカウント開設
- 納品の形態
- その他、導入したい機能
- ブログ開設はサイト内か…プラグイン、開発が必要か…決済システムの導入などするか…
スケジュール
- リリース日
- ティザーサイト公開
- 本リリース
- SNSアカウント
- 希望運用開始日
デザイン
- ターゲットに対し
- どういう印象を与えたいか
- 伝えないでおきたいこと(価格、など…)
- スローガン、商品(企業・団体)のキャッチコピーは
- それらの優先順位は
- デザイン大枠
- 求めている「雰囲気」は(洗練された/アグレッシヴな、かわいらしい、など…抽象的な単語で。リスト形式で選択できる形でも良い
- 前項に沿って参考にしたいWebサイトは
- その他デザイン、レイアウトを参考にしたいWebサイトは
- それは何に注目して参考にしたいと思ったか
- 配色
- コーポレートカラーは
- 使いたい色は
- 赤系(活発、リーダー気質、攻撃的)青色(信頼感、清涼感)など…リスト形式で選択できる形でも良い
- 使いたくない色は
- 競合
- 競合のWebサイトは知っているか
- 競合のサイトと差別化してアピールしたいポイントは
保守/ランニング
- 保守
- 必要/不要
- バナー作成
- 広告出稿代理
- 写真差し替え
- アクセス解析
- SEO
- サーバー保守
- ドメイン維持管理
- 電話サポート
- 担当者
- 更新担当者様
- お名前
- 連絡先
- Webスキル
- コーディング/Photoshop/Ilustrator…
- 制作担当者様
- お名前
- 連絡先
- Webスキル
- コーディング/Photoshop/Ilustrator…
などなど。
だいたいこの辺りのことをヒアリングシートに書いてテンプレートとしてヒアリングを行っている模様です。
ただ気をつけたいのが、制作会社のヒアリングシートってあくまでテンプレートなのです。
ヒアリングはコミュニケーションであり、ヒアリングシートに記載してある項目を立て続けに質問しても、クライアントの考えが上手く引き出せません。
さらに、ヒアリングシートに書いてある項目はあとからメールでも確認できるので、せっかく顔を合わせてお話をするコミュニケーションなわけですから、必ずしもこれらの項目に結びつく答えや意図が揃っているかといえばそうでもないのですね。
ディレクターさんのやりたかもそれぞれでしょうが、Webデザイナーとしてサイトを作る上で材料にしたい項目があれば、担当のディレクターさんに聞いてみてもいいですね!
ディレクション、ヒアリングについて参考にした素晴らしい記事
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